環境ストレスとKEAP1-NRF2制御系
 
私たちは環境から様々な物理的(紫外線、放射線など)・化学的(大気汚染物質、食品添加物など)ストレスに曝されています。こうしたストレスは生理的・遺伝的影響を生体に及ぼし、その健康を害する危険性があります。このようなストレス因子の多くは活性酸素(reactive oxygen species, ROS)生成能を有し、有害性の主な原因のひとつになっています。転写因子NRF2はこうした酸化ストレス関連の環境ストレスに対する耐性機構の誘導に幅広く関与し、実際にその欠損はROS生成・炎症・アポトーシス・酸化型DNA損傷など各種の酸化ストレスマーカの増悪を生体にもたらします。NRF2は一群の抗酸化ストレス関連酵素の誘導(抗酸化応答)を支配し、その活性はKEAP1という酸化ストレスセンサー因子によって制御されています(図1)。

 

 
皮膚は生体の最外部にあり、最も環境ストレスに曝される臓器のひとつです。紫外線は皮膚に対する主要な環境ストレスのひとつですが、過度に浴びると日焼けを起こし皮膚を痛めるだけでなく、長期にわたる慢性的な紫外線曝露によって皮膚の光老化(しみ・しわ)ももたらし,最悪の場合皮膚がんを発生させます。こうした紫外線による酸化ストレスに対しKEAP1-NRF2制御系がいかにして皮膚を守っているか、その機構の詳細の解明はまだこれからです。私たちの研究室ではNRF2やKEAP1の遺伝子に欠損のあるマウスを利用して、紫外線酸化ストレスに対するKEAP1-NRF2系の役割を皮膚で直接解明する研究を行っています。炎症・アポトーシス・DNA損傷・突然変異・メラニン色素などを指標にKEAP1-NRF2系制御下の抗酸化応答の欠損・亢進の皮膚へ影響を解析し、皮膚における紫外線ストレスの防御機構の解明を目指しています。紫外線の皮膚への有害作用の防御には他にDNA修復やアポトーシスに基づく組織修復機構、メラニン色素による侵入紫外線量の低減等も関係しており、これらの防衛機構とKEAP1-NRF2系制御下の抗酸化応答がいかに連携して皮膚を紫外線から守っているのかを明らかにしていきます(図2)。

 
興味のある方は医化学分野(022-717-8085)、またはプロジェクト責任者の池畑広伸(ikehata*med.tohoku.ac.jp, *は@に置き換えて下さい)までご連絡下さい。

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